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記事: 【総まとめ】宝石カットの種類~ジュエリー選びにも役立つガイド~

【総まとめ】宝石カットの種類~ジュエリー選びにも役立つガイド~
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【総まとめ】宝石カットの種類~ジュエリー選びにも役立つガイド~

宝石には「カット」というものがあるのをご存じでしょうか。このカットによって宝石の形や輝きが変化します。今回はそんな宝石のカットの種類について詳しくご紹介します。

宝石におけるカット

ジュエリーに使用されるような宝石は、ほとんどの場合カットが施されています。採掘されたままの原石は岩石のように凹凸があります。これを整った美しい形に切り出すのがカットです。このカットは宝石の輝きの良し悪しも左右する=宝石の価値を左右するとても重要な工程の一つです。

カットの工程


一言でカットと言っても、大きく4つの工程に分けられます。カットの方法や宝石の種類によっても変わりますが、基本的には以下のような段階を踏みます。

■スライシング
採掘された原石を大まかに切り分けていく作業です。この切り分け方によって、最終的な宝石のサイズや形、数なども決まっていくため、最初の工程にしてとても重要な内容になります。

■プレフォーミング
切り分けられた原石からカットの形を決める作業です。宝石の中には色や柄、内包物に個性が見られるものも多いです。これらの個性を最大限に生かすことなども考慮しつつカットの形を決めていくのです。また最終的な宝石の重量も考えながら作業します。

■シェイピング
プレフォーミングで決めた形をもとに整形していく作業です。専用のスティック状の工具の先に宝石を取り付け、回転するホイールにかけることで表面に面を作っていきます。

■ポリッシング
最後の仕上げとして整形された宝石を研磨していく作業です。シェイピングで作られた面をより精密なものに調整していきます。またダイヤモンドペーストなどを使用して研磨をすることで、宝石の輝きを表出させます。

カットの種類

- 面の有無による分類



①ファセットカット


ファセットカットとは、宝石の表面に面=ファセットを施したカットのことです。キラキラとした輝きを生み出すことができ、主に透明な宝石に施されることが多いです。

②ノンファセットカット


ノンファセットカットとは、面=ファセットの無いなだらかなカットのことです。宝石そのものの模様内包物を生かすことができ、主に半透明や不透明の宝石に施される場合が多いです。

ノンファセットカットはドーム状のカボションカット1種類のみです。底面が平らなものはシングルカボション、底面もドーム状のものはダブルカボションと呼ばれます。


- 形や面のつくり方による分類

①ラウンドカット

安定感のあるサークル状のカットの分類です。宝石カットの王道とも言える種類です。


■ラウンドカット

最もスタンダードな正円のカット。メインにもサブにも、どんな宝石にも施される王道のカットです。
ラウンドカットについて見ていくと「ラウンドブリリアントカット」という名前がよく登場しますが、こちらはダイヤモンドの輝きを最大限に引き出すために開発されたラウンドカットの一種です。しかし現在ではほとんどラウンドブリリアントカット=ラウンドカットの意味として使われることが多いです。


■オーバルカット

オーソドックスで安定感のある楕円形のカット。オーバル=卵を意味します。研磨によって削られる部分が少ないため、見た目の美しさと重量の保持を両立することができます。縦向きでも横向きでも使用されることがあり、同じカットでも印象の違いを楽しめます。


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②ステップカット

四角形をベースにしたカットの分類です。横から見ると宝石の下側が階段=ステップのように見えることからこの名前が付きました。面が広いため、透明感宝石の色をさらに美しく際立たせてくれます。


■エメラルドカット

長方形や正方形の四隅を切り取った形のカットで、宝石の色や透明感を特に美しく見せられます。元々はデリケートなエメラルドの角の損傷を軽減するために1500年代に作られたカットですが、現在ではエメラルドに限らず様々な宝石に施されまず。面が広い分、色味や内包物が目立つため、宝石に高い品質が求められます。

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■バゲットカット

 

角のある長方形のカットでバゲット=棒、杖という意味。実際のサイズや重量よりも大きく、また色が濃く見えやすいカットです。メインとして一石で使用されるよりも、並べて配置されることが多いです。


■スクエアカット

角のある正方形のカット。クラシカルな印象でアンティークジュエリーにもよく使用されます。広い面が多いため輝きは控えめですが、宝石自体の色をしっかりと楽しめます。メインにもサブにも使いやすい万能なカットです。


■テーパーカット

片側が細く絞られた形のカット。テーパー=傾くという意味で非対称の台形が特徴的です。メインとして使用されることは少なく、メインの脇に複数で使用することで華やかに見せる際に登場します。


③ファンシーカット

円形や四角形などに類さない、独自のフォルムをかたどったカットの分類です。それぞれの個性を生かし、ジュエリーの主役として使用されることが多いです。


■マーキス

ボートのような形のカットで、小さな宝石でも大きく見えやすいです。マーキスはフランス語で侯爵という意味。その由来は諸説ありますが、ルイ15世がポンパドゥール侯爵夫人がほほえんだ時の口元の形をモチーフに制作を依頼したことで誕生したと言われています。その形を生かして植物や羽をモチーフにしたジュエリーに仕立てられることが多いです。先端が欠けやすいため、比較的難易度の高いカットと言えます。


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■ペアシェイプ

ペア=洋梨のような形のカットで、1200年代から存在しており非常に長い歴史を持っています。しずく型にも見えることからティアドロップとも呼ばれます。尖った部分と曲線の部分からカット職人の腕前が分かる、精密さが求められるカットです。リングに使用すると指を細く見せてくれる効果があり人気です。



■ハートシェイプ

可愛らしいハート型のカット。比較的新しく誕生したカットで、アメリカやヨーロッパ圏ではポピュラーですが日本では少し希少です。縦横比が1:1に近いような全体的に丸みのある仕上がりが人気です。


⑤ミックスカット

宝石の輝きを最大限引き出すとされている「ブリリアントカット」と規則的なデザイン性を持つ「ステップカット」をミックスしたカットの種類です。輝きとデザイン性、どちらも楽しみたいという方におすすめです。


■トリリアント

三角形のカットでトリリオントリリアンとも呼ばれます。あまりお目にかかれないレアなカットです。画像のようなシャープな印象のフォルムの他に、3辺を曲線的にカットし全体的にふっくらさせた柔らかなフォルムのものもあります。



■プリンセスカット

角のある正方形のカット。一見スクエアカットのようですがプリンセスカットの方が面の数が多く、宝石の輝きをより強調してくれます。ダイヤモンドの輝きをより際立たせるブリリアントカットが含まれるため、ダイヤモンドに施されることが多く、婚約指輪に人気のカットです。「プリンセス」という名前は、プリンセスのように美しいカットだから、プリンセスのように知性や気品のある人に似合うカットだからなど諸説あります。


⑥その他

ここまでにご紹介したどの分類にも属さないカットの種類です。


■クッションカット

クッションのように丸みを帯びた四角形のカット。四隅に角が無いのが特徴で、ピローカットとも呼ばれます。1500年代に発明され、1900年代初めまでは最も一般的なカットでした。面が多いためキラキラとした輝きを楽しめます。


■ブリオレットカット

多くの面を施した立体感のあるドロップ型のカット。ドロップの頂点に穴をあけて吊るす形で使用されることが多いため、ピアスやネックレスとして目にすることが多いです。非常に難しく手間がかかるカットで、熟練の職人であっても簡単に作成することはできません。


■ローズカット

三角形の面を敷き詰めたドーム状のカットで、底面は平らに作られます。1500~1600年代に発明されたと言われており、アンティークジュエリーにもよく見られます。ダイヤモンドの輝きを際立たせるために考案されたブリリアントカットのルーツとも言われているように、少しの光でも反射してよく輝くのが特徴です。

 

まとめ

この記事を参考に、お手持ちのジュエリーの宝石をご覧になられてはいかがでしょうか?これまでよりも、もっと宝石を楽しむことができますよ。最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。

この記事を書いた人

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Miyasaka

SoëL / スタッフ

新卒でジュエリー業界に入って3年目の、新米と言えなくなってきた社会人。自分自身も勉強になるような記事を目標に情報をお届けします。音楽と美術館巡りと辛い食べ物が好きです。

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